この記事のポイント
- 先発医薬品を希望するとジェネリックとの差額の一部を自己負担しなければいけない(2026年6月から自己負担額が引き上げられる予定)
- 医療費の増大対策と、新薬開発を促す狙いがある
- ジェネリックは国の厳格な審査を通過した、先発品と同等の品質・安全性を持つ薬
お医者さんに処方された薬、先発医薬品とジェネリック医薬品どちらを選んでいますか?
2024年10月から、薬の自己負担のルールが変わりました。さらに2026年6月には負担割合が引き上げられることが決まっています。
薬代の新ルール、何がどう変わるのか、順を追って整理してみましょう。

先発品とジェネリック、何が違うの?
先発医薬品は、製薬会社が長い年月と膨大なコストをかけて開発した薬です。
特許期間(20〜25年程度)が切れると、他のメーカーが同じ有効成分を使って、効能・効果、用法・用量が同じ薬を製造・販売できるようになります。こうして作られた薬がジェネリック医薬品(後発医薬品)です。
- 「新薬」「先発品」とも言われる
- 最初に開発・承認された薬
- 20〜25年程度で特許が切れる
- 「後発品」とも言われる
- 特許が切れた後に、同じ有効成分で他社が製造
- 先発品より3~5割程安い
特許が切れてジェネリックが出ている先発品は、「長期収載品」とも言われます。

薬代のしくみ、どう変わる?
2024年10月に始まったルール変更
それまでは、先発品・ジェネリックいずれを選んでも同じ条件で保険が適用されていましたが、2024年10月から先発品を希望した場合、ジェネリックとの差額の4分の1を自己負担することになりました。
基本的には、次のいずれかに当てはまる先発品(長期収載品)が対象です。
- ジェネリックが発売されてから5年以上経過している
- ジェネリックへの切り替えが50%以上進んでいる
現時点では約700成分が対象で、降圧薬・糖尿病薬・抗アレルギー薬など、日常的に使われる薬が多く含まれます。
ただし、次の場合は対象外となります。
- 「医療上、先発品を選択する必要がある」と医師が判断した場合
- 薬局の在庫状況などをふまえて、ジェネリックの提供が困難な場合
たとえば、てんかんの治療薬がわかりやすい例です。発作がコントロールできている患者さんに対しては、ガイドラインでも「服用中の薬を切り替えないことを推奨」されており、このような場合は先発品のまま保険適用となります。
2026年6月からさらに引き上げ
2024年の制度導入でジェネリックへの切り替えが進んだのを受け、2026年6月からは負担割合が差額の2分の1に引き上げられます。
たとえば先発品が1錠100円、ジェネリックが60円の場合、差額40円の2分の1にあたる20円が追加の自己負担となります(消費税別)。
なおこの場合、追加負担分20円を引いた80円が保険給付の対象となり、たとえば1割負担の場合は「80円の1割(8円)と「追加負担分20円」の合計28円(消費税別)が実際の自己負担総額となります。

なぜ、このルールができたの?
医療費の増大を背景に
医療費の増大は多くの国が抱える共通課題です。医療技術の高度化などで医療費が増え続ける中、WHO(世界保健機関)は価格の安いジェネリックの使用を推奨しています。アメリカではすでに使用率が90%以上に達しているとのこと。
日本でも医療費の増大を背景に、医療保険財政の改善が課題となっています。その対策の一つとしてジェネリック切り替えを促すため、このルールが導入されました。
新薬開発を後押しする狙いも
また厚生労働省は、製薬産業の構造を「特許切れの薬へのビジネス依存」から「より高い創薬力を持つモデル」へ転換することを掲げています。
特許切れの先発品に依存するビジネスを続けていると、新薬開発への投資が進まなくなってしまいます。その構造脱却のため、ジェネリックへの切り替えを促そうというわけです。

ジェネリックって、本当に大丈夫?
いくら推奨されているとはいえ、「安いから、先発品に劣るんじゃないか」とちょっと心配にもなりますよね。ただ、ジェネリックは決して「安かろう悪かろう」ではありません。
厚生労働省の審査機関であるPMDA(医薬品医療機器総合機構)がジェネリックの品質を厳格に審査し、「先発品と同レベルの有効性・安全性を持っている」と認められたものに限り販売が許可されています。この審査基準はFDA(アメリカ食品医薬品局)と同水準です。
また製造においても、「GMP(製造管理・品質管理基準)」という国際基準が先発品・ジェネリックどちらにも適用されています。
これだけの基準をクリアしていることを考えると、安心してジェネリックを選ぶことができるのではないでしょうか。
なお、添加物(錠剤の形を保つ成分など)は先発品と異なる場合があります。特定の成分にアレルギーがある方や、ジェネリックに切り替えて体調に違和感を覚えられた方などは、薬剤師や医師に相談するのが安心です。

自分に合った選択を
先発品を希望する場合に自己負担が発生するルールの背景には、医療費増大の問題だけでなく、新薬開発を促すという産業政策としての狙いもあります。
つまり、私たちがジェネリックを選ぶことは、家計の節約だけでなく、将来の新薬開発を間接的に支えることにもつながっているわけですね。
ジェネリックは国の審査を通過した安全性の高い薬です。医師や薬剤師と相談しながら、自分に合った選択をしていきましょう。
本記事の内容は健康情報の提供を目的としており、医療行為・診断を目的としたものではありません。体の不調がある場合は医師にご相談ください。
参考情報
- 厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html - 厚生労働省「長期収載品の選定療養」Q&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_004.html - 厚生労働省「後発医薬品(ジェネリック医薬品)及びバイオ後続品(バイオシミラー)の使用促進について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kouhatu-iyaku/index.html - 政府広報オンライン「安心してご利用ください ジェネリック医薬品」
https://www.gov-online.go.jp/article/201309/entry-8941.html - 中医協総会資料「長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養について」https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001276277.pdf
記事作成日:2026/4/18
