この記事のポイント
- 睡眠5分・運動2分・野菜半皿の改善だけで、寿命が1年延びる可能性がある
- 3つを組み合わせることで、単独で改善するより少ない変化で効果が得られる
- 運動は1日50分で効果が頭打ちに。頑張りすぎなくていい
毎日ちゃんと運動して、ちゃんと寝て、食事も気をつけて……それが理想ではあるものの、なかなかそうもいかないのが現実ですよね。
でも最近の研究で見えてきたのは、「完璧にしなくても、小さな積み重ねで十分効果がある」らしいということ。ちょっと希望の湧く結果が出ているのです。

睡眠・運動・食事の改善にフォーカスした研究
シドニー大学(オーストラリア)の研究チームが2026年1月、医学誌に発表した研究があります。
約59,000人のデータを平均8年にわたって追跡し、睡眠・運動・食事の3つを同時に改善したときに、寿命や健康寿命がどう変わるかを調べたものです。
睡眠と運動はリストバンド型のウェアラブル端末で実測、食事はアンケートで評価しました。
調査の対象となったのは「最も不健康なグループ」。具体的には、睡眠5.5時間・運動7分・食事スコア36.9点(100点満点)というプロフィールの人たちです。
日本人の40〜50代の4割以上が睡眠6時間未満だという調査結果もありますから、このプロフィールが他人事に思えない方も少なくないかもしれません。
「ちょっとだけ」が積み重なると、どのくらい変わる?
結果は、予想よりずっとシンプルなものでした。最も不健康なグループが1年寿命を延ばすために必要だった改善量はこれだけです。
- 睡眠: +5分/日
- 運動(中〜高強度): +2分/日
- 食事: 野菜を半皿分増やす
=寿命+1年
つまり、5時間半の睡眠時間を5時間35分に、7分の運動を10分に、そして半皿の野菜を追加するだけで、1年も寿命が伸びたのです。驚きですよね。
なお、「寿命が伸びる」といっても、実際に全員の寿命を観察したわけではありません。8年間の追跡期間中の死亡率をもとに、統計モデルで試算した推計値です。

ちなみに、しっかり改善するとどのくらい変わる?
もう少しがんばって改善した場合の推計値データも出ています。
※ 「寿命」は何年生きるか、「健康寿命」は病気のない状態で何年生きるかを意味します。
- 睡眠: +24分/日
- 運動(中〜高強度): +3.7分/日
- 食事: 野菜1カップ(野菜小鉢1杯程度)+雑穀1食分+魚2回/週
=健康寿命+4年
- 睡眠: +60分/日
- 運動(中〜高強度): +8.8分/日
- 食事: 野菜1カップ(野菜小鉢1杯程度)+雑穀1食分+魚2回/週
※食事の具体的な量は、研究のスコアをもとにした目安です。
=寿命+5年
- 睡眠: 7.2〜8時間/日
- 運動(中〜高強度): 42分超/日
- 食事: 健康的な食事全般
=寿命+9.3年以上
運動量の差が数分程度であることを考えると、1分でも長く体を動かすことが寿命にとっては大切なのだと考えられます。また、しっかり睡眠をとることの重要性も読み取れます。
寿命9年に相当する改善はなかなか骨が折れそうですが、4年、5年の改善であれば、わりとすぐにでも手が届きそうな気がしませんか。
さてここで、実践のポイントをまとめておきます。
- 「中〜高強度の運動」って何をすればいい?
「中〜高強度の運動」と聞くと、ジムやスポーツをイメージしがちですが、実は日常生活の中でも十分実践できます。
- 早歩き(少し息が上がる程度)
- 階段の上り下り
- 自転車
- 庭仕事や掃除(体を動かすもの)
プラス数分の改善であれば、通勤時間や買い物などで自然と達成できそうです。
- 睡眠・運動・食事の3つを全部やらないといけない?
理想的には3つ同時がベストですが、研究では「1つだけ改善した場合」も効果があることが確認されています。
ただし、1つだけで同じ効果を得たい場合には、必要な改善量が大きくなります。
「寿命+1年」のデータを例にあげると、同じ効果を得るためには、睡眠単独なら1日プラス25分、運動単独ならプラス2.3分(2分18秒)の改善が必要となります。なお、食事だけの単独改善では同等の効果を達成することができなかったと報告されています。
- 運動時間を改善すれば、睡眠や食事の悪習慣をカバーできる?
たしかに運動時間の改善効果には際立つものがあります。ただ、運動さえすれば睡眠不足や食生活の乱れをカバーできる、というわけではありません。
この研究はあくまで『改善した場合の効果』を見たもの。悪習慣を運動で帳消しにできるとは示されていませんので注意しましょう。

ゆるく続けるのがちょうどいい、という話
「じゃあ運動はできるだけ多くやったほうがいい?」と思うかもしれませんが、この研究では運動の効果は1日50分で頭打ちになることも確認されています。それ以上増やしても、寿命延長の上乗せはほとんどなかったとのこと。
研究の主著者であるKoemel氏はこう述べています。「小さな行動の変化は、長期的に大きな違いをもたらす可能性がある。大切なのは、最初の一歩をどこで踏み出すかだ」と。
ゆるく、長く。それが一番いいのかもしれません。
本記事の内容は健康情報の提供を目的としており、医療行為・診断を目的としたものではありません。体の不調がある場合は医師にご相談ください。
参考情報
- Koemel et al., eClinicalMedicine, 2026,
https://doi.org/10.1016/j.eclinm.2025.103741 - シドニー大学「Improving sleep, diet and increasing physical activity can increase lifespan」
https://www.sydney.edu.au/news-opinion/news/2026/01/14/improving-sleep–diet-and-increasing-physical-activity-can-incre.html - 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
記事作成日:2026/6/2
