口の中をすっきり爽やかにしてくれるマウスウォッシュ、毎日のケアに取り入れている方も多いですよね。
実際にマウスウォッシュを歯みがきと併用すると、歯みがき単独よりプラーク(歯垢)中の細菌が大幅に減ったという臨床研究の報告もあります。
成人68人を対象にした4週間のランダム化比較試験で、フッ素入り歯みがき粉での歯みがきだけのグループと、それに0.075% CPC配合マウスウォッシュを加えたグループを比較しました。その結果、併用したグループは歯みがきだけのグループより歯垢中の細菌が86.8%少なかったと報告されています。
ただ、その効果、ちゃんと引き出せているでしょうか。実はマウスウォッシュの効果は、成分や使うタイミング次第で変わってきます。この記事では、正しい使い方と悩み別の選び方をご紹介。日々の口腔ケアに役立ててみてください。

マウスウォッシュの正しい使い方
マウスウォッシュの効果を引き出すためには、使うタイミングが何より大事です。
歯垢が残ったままだと、マウスウォッシュの有効成分が歯の表面まで届きにくくなります。
まずは、歯ブラシ(必要に応じてフロスや歯間ブラシ)でていねいに汚れを落としましょう。
ゆすぎ過ぎに気を付ける
ほとんどの歯みがき粉にはフッ素(歯の質を強化して細菌から守る成分)が含まれています。
歯みがき後に口をゆすぎ過ぎるとこのフッ素が流れ出てしまうため、歯みがき後のゆすぎは必要最小限に抑えるのがポイントです。
なお目安は、「少なめの水で5秒ほどゆすぐ」程度。
ゆすぐ時間は20~30秒が目安。ただし、目安は製品によって多少異なるので、記載の容量用法に従ってください。
使うタイミングに要注意
先ほど、歯みがき後に水でゆすぎ過ぎるとフッ素が流れてしまう、という話をしましたが、当然マウスウォッシュでも同じことが起こります。
これについてアメリカ歯科医師会(ADA)の専門家は、フッ素を口内に残すため、歯みがき後少なくとも15分ほど時間を置いてからマウスウォッシュを使用することをすすめています。
フッ素を長く留めたい場合は、もっと時間を置いてもいいかもしれません。イギリスの国民保健サービス(NHS)は、朝晩の歯みがきとは時間をずらし、昼食時などにマウスウォッシュを使う提案をしていたりもします。
ただし、フッ素配合のものであれば、歯みがき直後に使用しても問題ありません。むしろ歯みがき後に使うことで、フッ素を補う形になります。
というわけで、以下をタイミングの目安にしてみてください。
- フッ素の効果を最大化させたい場合は、フッ素配合のものを使用するか、もしくは歯みがきとは完全に時間をずらす。
- フッ素とその他の効果を両方得たい場合は、できれば歯みがきの15~30分時間を置いてから使用する。

有効成分を口の中に長くとどめるため、マウスウォッシュを吐き出した後は水でゆすがないようにしましょう。
詳しい使い方は製品の表示も確認するようにしてください。
- 1日にどれぐらい使えばいい?
目安は1日2~3回までです。
マウスウォッシュを使いすぎると、口の中の善玉菌まで殺菌してしまう可能性があります。必要以上に使用するのはやめましょう。
製品に推奨回数が記載されていれば、それに従ってください。
気になる悩み別・注目したい成分
マウスウォッシュは成分によってさまざまな特徴があります。先ほど触れたフッ素を含め、注目成分を目的別にリストアップしましたので、製品選びの参考にしてみてください。
歯を強くして、虫歯を予防したい – 「フッ素」
フッ素は、歯のエナメル質を強くして酸に溶けにくくし、虫歯を予防する成分です。前述のとおり、多くの歯みがき粉に含まれていますが、フッ素入りのマウスウォッシュを使用することで、その効果をより高めることができます。
なお、フッ素は歯の根元の象牙質などにも作用しますので、歯ぐきが下がって根元が見えてきた場合の虫歯予防にもおすすめです。

口臭やねばつきが気になる – 「CPC」
CPC(塩化セチルピリジニウム)は、口の中に漂っている細菌(浮遊性細菌)を殺菌するのが得意な成分。口全体の細菌量を減らして、口臭やねばつきのケアに繋げます。
市販のマウスウォッシュにもっとも広く使われている殺菌成分の一つです。
なお、CPCには誤嚥性肺炎の原因菌を殺菌する作用も報告されています。関連記事はこちら。
歯周病・歯ぐきの健康が気になる – 「IPMP」
IPMP(イソプロピルメチルフェノール)は、歯周病ケアに特化した殺菌成分です。
歯ぐきの境目にできるバイオフィルム(細菌のかたまり)に浸透しやすい性質があり、内部に潜んだ歯周病菌にもアプローチします。
歯ぐきの腫れや出血が気になる – 「トラネキサム酸」「グリチルリチン酸」
歯ぐきの腫れや出血には、トラネキサム酸とグリチルリチン酸という抗炎症成分が役立ちます。
トラネキサム酸は出血を抑える働きがあり、グリチルリチン酸は炎症をやわらげる働きがあります。両方が配合された製品もあり、歯肉炎が気になる方向けによく使われています。

歯の黄ばみが気になる – 「ポリリン酸Na」
コーヒーやお茶による着色汚れ(ステイン)が気になる方には、ポリリン酸Naが入った製品が選択肢になります。これらは、歯の表面についた着色汚れを浮かせて落とす働きが期待される成分です。
ただし、これらは「歯そのものを白くする(漂白する)」ものではありません。歯の本来の色より白くしたい場合は、歯科医院でのホワイトニングが必要です。
使用時の注意点
マウスウォッシュを使う際には、以下の点に気をつけましょう。
マウスウォッシュは、あくまでも歯みがきの「補助」
歯の表面につくプラーク(歯垢)は、ねばねばとした細菌のかたまりです。これは歯ブラシで物理的にこすらないと落とせません。
口に含んでゆすぐだけのマウスウォッシュでは、プラークそのものを取り除くことはできないので、あくまでもマウスウォッシュは歯みがきの補助だと考えておきましょう。

まれにアレルギー反応が起こることもある
特に殺菌力の高いグルコン酸クロルヘキシジン配合の製品は、口の中にかゆみや腫れなどのアレルギー症状が出ることがあります。
口の中に傷があるときは使用を控え、初めて使う場合は様子を見ながら試しましょう。違和感が続くときは歯科医師に相談してください。
アルコール入りの製品は、口内が乾くことも
アルコール(エタノール)が入ったタイプは、強い爽快感がある反面、口の中が乾きやすく感じることがあります。
刺激が苦手な方や口の乾きが気になる方は、ノンアルコールタイプを選ぶとよいでしょう。
使いすぎると、善玉菌まで減ってしまうかも
殺菌成分を含むマウスウォッシュは、使いすぎると口の中の細菌バランスを崩してしまう可能性が指摘されています。
口の中には悪玉菌だけでなく、健康を保つ働きをする善玉菌もいるため、必要以上の殺菌は逆効果になることも。使用回数は製品の表示の範囲を目安にしましょう。
マウスウォッシュは、選び方と使い方を少し意識するだけで、毎日の歯みがきをぐっと心強くしてくれるアイテムです。
成分の特徴や使うタイミングを上手にいかして、口の中の健康を守っていきましょう。
本記事の内容は健康情報の提供を目的としており、医療行為・診断を目的としたものではありません。体の不調がある場合は医師にご相談ください。
参考情報
- 厚生労働省「フッ化物洗口マニュアル(2022年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001037973.pdf - American Dental Association「Mouthrinse (Mouthwash)」
https://www.ada.org/resources/ada-library/oral-health-topics/mouthrinse-mouthwash - NHS「How to keep your teeth clean」
https://www.nhs.uk/live-well/healthy-teeth-and-gums/how-to-keep-your-teeth-clean/ - Haraszthy VI, Sreenivasan PK, Contemporary Clinical Trials Communications, 2017,
https://doi.org/10.1016/j.conctc.2017.08.010
記事作成日:2026/5/31
