「健康診断で血糖値が高めと言われたけど、どのくらい深刻なんだろう」「HbA1cって何? どうすれば改善できるの?」
そんな不安や疑問を感じている方は、少なくないと思います。
この記事では、血糖値・HbA1cの数値の見方から、食事・運動・睡眠といった生活習慣の改善策まで、順を追ってわかりやすく解説していきます。
【まず確認】あなたの数値はどのレベル?
HbA1cの目安
| 判定 | HbA1c(%) | 意味 |
|---|---|---|
| 正常 | 5.5未満 | 問題なし |
| 要注意 (正常高値) | 5.6〜5.9 | 生活習慣を見直すサイン |
| 境界型 (糖尿病予備群) | 6.0〜6.4 | 改善が必要。医師への相談を |
| 糖尿病型 | 6.5以上 | 医療機関での診察を |
空腹時血糖値の目安
| 判定 | 空腹時血糖値(mg/dL) |
|---|---|
| 正常 | 99以下 |
| 境界型 | 100〜125 |
| 糖尿病型 | 126以上 |
※健診機関によって表記が異なる場合があります。
※参照: 糖尿病情報センター(https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/010/010/03.html#01)
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)は「過去1〜2ヶ月の血糖値の平均」を反映する数値です。
食事の影響を受けにくいため、血糖コントロールの状態を確認するのに適しています。
【原因と影響】血糖値はなぜ上がる? 上がると何が起きる?
血糖値はなぜ上がる?
食事で糖質(ごはん・パンなど)をとると、消化されてブドウ糖になり血液に吸収されます。このとき膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、ブドウ糖を細胞に取り込んで血糖値を下げます。
ところが、食べすぎ・早食い・運動不足・睡眠不足といった習慣が重なると、インスリンの分泌が間に合わなくなったり、効きにくくなったりします。その結果、血糖値が高くなってしまうのです。

高血糖が続くと何が起きる?
血糖値が高い状態が長く続くと、全身の細い血管がじわじわとダメージを受けていきます。やがて糖尿病へと進行すると、特に次の3つの合併症が起こりやすくなります。
糖尿病性神経障害
手足のしびれ・痛み。最も早期に起こりやすい。
糖尿病性網膜症
視力低下・最悪の場合、失明につながることも。
糖尿病性腎症
腎機能低下・人工透析が必要になることも。
これらの「細い血管」へのダメージに加え、心臓や太い血管にも影響が及びます。
- 糖尿病の方は、そうでない方と比べて心臓や血管の病気(心筋梗塞や脳梗塞など)の発症率が約3.5倍高まると報告(*1)されています。
- その他にも認知症のリスクが2.5倍になることや、大腸がんなどのがんリスクが20%高まることなども報告(*1)されています。

「健診で正常」でも要注意: 「食後高血糖」と「血糖値スパイク」
空腹時の血糖値が正常でも油断できないケースがあります。それが「食後高血糖」と「血糖値スパイク」。
食後の高血糖を放置すると、動脈硬化などが進み、糖尿病を発症しやすくなると言われています(*2)。
インスリンが十分に働かず、食後の血糖値が2時間経っても下がらない状態を「食後高血糖」と言います。
空腹時採血では食後の血糖値の変化を把握できないため、健診結果に現れにくいのが特徴です。
食後高血糖が起きると、血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌され、今度は急激に血糖値が下がってしまうことがあります(反応性低血糖)。これがよく言われている「血糖値スパイク」という現象。
低血糖になると、動悸や手足のふるえ、顔面蒼白、頭痛、強い眠気、集中力の低下、ふらつきなどの症状が出てきます。

健康にさまざまな悪影響を与える高血糖ですが、早い段階で生活を改善すれば、十分に予防・進行を食い止めることができます。
気づいたときが改善のチャンス。ではさっそく、改善方法をチェックしていきましょう。
【改善策①】食事で血糖値を下げる
食事の見直しは、血糖値に最も直接的に効果があります。「選び方・順番・量のバランス」を少し工夫することが改善のポイントです。
食べる順番を変える:「カーボラスト」
「ごはんやパンを最後に食べる」—これがカーボ(炭水化物)ラスト。食後血糖値の上昇を抑制する効果が期待される食事方法です。
これまでは「ベジファースト(野菜から先に食べる)」がよく知られていましたが、複数の研究(*3)では、何を最初に食べるかより「炭水化物を最後に食べること」のほうが大切であることが示されています。
とにかく主食(ごはん・麺類・パン)を最後に食べる。
これだけです。できれば、おかずを食べ始めてから、主食に手をつけるまで20分程度あけられると理想的。

続けるコツ
「ゆるカーボラスト」でもOKにする。
毎食きっちりやろうとすると、ごはんの時間がどんどん苦痛になってしまいます。最初から「ゆるくやる」と決めておくのが続けるコツです。
例えば…
- 3食全部はしんどい → 1食だけ意識する
- 丼もの・カレーの日 → サラダや小鉢、味噌汁などを先に食べる
- ぜんぜん実践できなかった → 翌日にいつもよりカーボラストを意識する
「ごはんをできるだけ後回しにしよう」という意識があるだけで、自然と食べ方が変わっていきます。
ゆるやかにでも続けていくことを目指してみてください。
糖質をゆるやかに減らす:「ロカボ」
一方で、糖質の摂取量を制限することもまた、血糖コントロールに有効だと言われています(*4)。
糖質制限としておすすめしたいのが、北里研究所病院・山田悟先生が提唱するロカボ(ゆるやかな糖質制限)という考え方(*5)。
「ローカーボハイドレート(低炭水化物)」を略した言葉で、糖質をゼロにするのではなく「ゆるやかに減らして、おいしく続ける」ことを大切にした食事法のこと。
1食あたりの糖質を20~40gに調整し、1日合計を70~130gに抑えます。糖質10g程度なら間食もOK。
「主食は半分、おかずはたっぷり」というのが、実践のめやすです。

とはいえ、主食以外ならすべてが低糖質というわけでもありません。いも類やかぼちゃ・とうもろこしなど「世界のどこかで主食になっているもの」はたいてい糖質が多めなので、食べすぎないよう注意しましょう。
- じゃがいも・さつまいも・かぼちゃ: 野菜でも糖質が高め
- 果物・フルーツジュース: 果糖が多く血糖値を上げやすい
- 砂糖入りの飲み物・市販の野菜ジュース: 思った以上に糖質が多い
続けるコツ
初めてロカボに取り組む方は、まず夕飯のみ実践してみるなど、無理せず1食から始めるのがおすすめです。
慣れてきたら、食品の成分表示で糖質をチェックしたり、「糖質オフ」「糖質〇%」と書かれた商品を選んだりなどして、少しずつ「自分に合ったロカボ習慣」を見つけていくといいでしょう。
【改善策②】運動で血糖値を下げる
食後の軽い運動に血糖値を下げる効果がある、ということもまたエビデンスとして示されています。
食後15分のウォーキングが特に効果的
研究(*6)によれば、毎食後15分のウォーキングには、1日1回45分まとめて歩くのと同等の血糖コントロール効果があるのだそうです。特に夕食後のウォーキングが効果的とのこと。
時間がとれない時は、食後2~5分のウォーキングだけでも効果があります(*7)。食後の短いウォーキングでも、長時間座り続けた場合に比べて血糖値が平均17.01%下がるのだとか。
「食後にちょっと歩く」という感覚で取り組めるため、運動のためにわざわざ時間を作るよりも続けやすいかもしれません。

ウォーキング+軽い筋トレで効果アップ
ウォーキングに軽い筋トレをプラスすると、血糖値改善の効果がさらに高まることがわかっています。
特に太ももやふくらはぎなど下半身の大きな筋肉を使う動きが効率的。代表的なものとして、スクワットがおすすめです。
ポイントは「毎日やらない」こと。筋肉の回復時間を確保することが効果につながるため、日を空けながら行うのが推奨されています。「10~15回を3セット」、「週2~3回」を目安に続けてみましょう。
- 週2~3回(毎日やらない)
- 10~15回 3セット
- 足を曲げて腰を落とすときに息を吸い、腰を上げて足を伸ばすときに息を吐く(呼吸を止めない)

【改善策③】睡眠ケアも見逃せない
「食事と運動を頑張っているのに数値が下がらない」という場合、睡眠環境が影響しているかもしれません。
睡眠不足は血糖値を上げる
睡眠不足が数日続いただけで、インスリンの作用が現れにくくなり(インスリン抵抗性)、同じ食事をしても血糖が高くなることが明らかになっています(*2)。
また、食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌が減り、逆に食欲を高めるホルモン(グレリン)が増えるため、食欲が増大することもわかっています。
インスリンが効きにくくなる上に食べすぎてしまう、という悪循環を避けるためにも、できるだけ1日6時間以上の睡眠を確保するようにしましょう。

質のいい睡眠3ステップ
特に炭水化物の多い食事は避けましょう。
スマホを見ると脳が覚醒状態になりやすく、眠気が遠のいてしまいがち。
部屋が明るいと眠りを促す「メラトニン」が分泌されにくく、眠りが浅くなってしまいます。
テレビやラジオをつけたまま眠るのも避けましょう。
食事・運動・睡眠、できるところから少しずつ
これまで見てきたように、血糖値・HbA1cの改善は「食事」「運動」「睡眠」3つの見直しが重要です。
- ロカボを意識して主食を半分にしてみる
- 食後に5~10分ぐらい歩いてみる
- 就寝時間を決めて、30分前にはスマホをやめてみる
どれか一つを頑張るよりも、3つをそれぞれ少しずつ改善していくほうが長続きしやすく、また相乗効果も期待できます。無理せずひとつひとつ、自分に合った習慣を探していきましょう。
※ 生活習慣を変えても数値が改善しない場合や、すでに数値が大きく外れている場合は、かかりつけ医への相談もあわせて検討してみてください。
参考情報
この記事は以下の公的機関・信頼できる情報源を参照して作成しています。
- *1 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター
https://dmic.jihs.go.jp/general/index.html - *2 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム
https://kennet.mhlw.go.jp/tools/ - *3 Weill Cornell Medicine「Food Order Has Significant Impact on Glucose and Insulin Levels」(2015)
https://news.weill.cornell.edu/news/2015/06/food-order-has-significant-impact-on-glucose-and-insulin-levels-louis-aronne - *4 糖尿病診療ガイドライン2024
https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4 - *5 ロカボ 公式ページ
https://locabo.net/ - *6 DiPietro L, et al. “Three 15-min Bouts of Moderate Postmeal Walking Significantly Improves 24-h Glycemic Control” Diabetes Care, 2013
https://diabetesjournals.org/care/article/36/10/3262/30770/ - *7 Buffey AJ, et al. “The Acute Effects of Interrupting Prolonged Sitting Time with Standing and Light-Intensity Walking” Sports Medicine, 2022
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35147898/
※記事作成日:2026/3/9
