この記事のポイント
- 男女共通: 1日1個以上で心不全リスクが上がった
- 60代以上の人: 1日一個以上で死亡リスクが上がった
- 日本人女性: 週1〜2個が最も死亡リスクが低かった
- 健診でコレステロールを指摘されたことがある人: 1日1個未満を目安に
卵の適正摂取量については「1日1個まで」「2~3個なら問題ない」というような、さまざまな論調を耳にします。さて実際のところ、どのくらいが適量なのでしょうか。
日本人を対象にした大規模研究のデータから、少し意外な事実が見えてきました。
日本人女性のデータが示した意外な数字
日本人女性4,686人を15年間追跡した大規模調査「NIPPON DATA90」1)で、卵の摂取量と死亡リスクの関係が調べられました。
卵の摂取頻度ごとに5つのグループに分けて解析したところ、週1〜2個のグループが最も死亡リスクが低く、とくにがん死亡リスクでは1日1個グループと比べて約32%低下(ハザード比0.68)という結果に。
一方、1日2個以上のグループでは全死亡リスクが約2倍、がん死亡リスクは約3倍になっていました。
この研究は「卵の摂取量と死亡リスクに関連があった」という観察結果であり、卵が原因だと断定するものではありません。ただ、同様の傾向は別の調査(NIPPON DATA80)2)でも確認されているため、少なくとも一定の信頼性が持てる知見と言えます。
全国的に実施された健康調査の参加者を長期間追跡して、日本人における病気や健康寿命などの要因を探った大規模研究のこと。追跡開始年が1980年、1990年、2010年の3種類がある。
男性はどうなの? 年齢層にも関係がある?
NIPPON DATAでは、男性における関連性ははっきりと確認されませんでした。かと言って、「男性は何個食べてもOK」とも言えなさそうなのです。
約200万人を対象とした国際的なメタ解析3)では、週7個(1日1個程度)以上の摂取で心不全リスク上昇との関連が示されました。また60歳以上を対象にした解析4)では、「毎日1個以上食べる群」が「ほとんど食べない群」に比べて全死亡リスクが上昇する傾向も確認されています。
摂取量の影響は男女差だけでなく、地域や年齢によっても変わってくるようです。「何個食べても安全だ」と言えるエビデンスがない限り、「自分には関係ない」と簡単にスルーしない方がいいかもしれません。
コレステロールが高めの方はより慎重に
なお、「健診でコレステロールが高めと言われた」「境界値・境界型と指摘された」という方は、男女問わず注意が必要です。
日本動脈硬化学会のガイドライン(2022年版)5)では、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い人はコレステロールの摂取を1日200mg未満に抑えることを推奨しています。卵1個(Mサイズ)に含まれているコレステロールは約200mgですから、1個食べるだけでほぼ1日の上限に達してしまいます。
結局、卵は何個まで?
現時点のデータをまとめると、「男女問わず1日1個未満を意識する」のが無難と言えそうです(とくに60代以上の方や、健診でコレステロールや脂質を指摘されたことがある方は慎重に。)
また日本人女性の場合は、冒頭の研究を参考に「週1〜2個」を目安にするのもいいかもしれません。
なお、これらはあくまで観察研究にもとづく知見です。「卵を控えれば健康になる」と断定できるものではないので、卵も含めて食事全体をバランスよく整えていきたいところですね。
本記事の内容は健康情報の提供を目的としており、医療行為・診断を目的としたものではありません。体の不調がある場合は医師にご相談ください。
参考情報
- Nakamura Y et al., European Journal of Clinical Nutrition, 2018,
https://doi.org/10.1038/s41430-017-0051-4 - Nakamura Y et al., American Journal of Clinical Nutrition, 2004
https://doi.org/10.1093/ajcn/80.1.58 - Godos J et al., European Journal of Nutrition, 2021,
https://doi.org/10.1007/s00394-020-02345-7 - Ma et al., Journal of Nutrition, 2022 https://doi.org/10.1093/jn/nxac179
- 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
https://www.j-athero.org/jp/general/4_atherosclerosis_yobou/
記事作成日:2026/4/1
