「健康のために歩き始めたけど、気づいたらやめてしまっていた」「雨が続いたのをきっかけに、そのまま習慣が途切れてしまった」
そんな経験、誰でも一度はありますよね。実際のところウォーキングは、「始めること」より「続けること」のほうがずっと難しいとも言われています。
今回のテーマは「ウォーキング継続術」。どうすればウォーキングをコツコツ続けていけるのか、心理学や研究データを参考にしながら一緒に考えていきましょう。

【ウォーキングの効果】体と心はこんなに変わる
「なんとなく体にいいから」というだけでは、なかなか続ける動機になりにくいものです。
習慣化の第一歩は、具体的な効果を知ることから。ウォーキングにはどんなメリットがあるのでしょうか。

フレイルが気になる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
これらの効果を知って「よし、やってみるか」と気合が入っても、実際にコツコツ続けられるかどうかはまた別の話ですよね。
では次に、続かない理由とその対策をパターンごとに解説していきます。
【続かない理由と対策】5つのパターン
ウォーキングが続かないのは、意志が弱いからではありません。
脳科学では、「行動を起こすことで脳が活性化され、やる気は後からついてくる」ことが知られています。つまりやる気が出るのを待っているだけでは、なかなか重い腰は上がりにくいのです。
大切なのは、「まずちょっと動いてみる」こと。その「ちょっと」がきっかけになって、やる気は少しずつ高まっていきます。

ではここで、つまづきやすいパターン例を見てみましょう。合わせて、「小さなきっかけ」を積み重ねるコツをご紹介していきます。
パターン① 目標を高く設定しすぎてしまう
「毎日1時間歩く」と意気込んで始めたものの、体が慣れないうちに無理をして疲れてしまうケースです。最初のハードルが高いほど、どうしても挫折しやすくなります。
対策スモールステップを意識する
行動科学者B.J.フォッグの「小さな習慣(Tiny Habits)」理論では、小さな行動を積み重ねることが習慣化への近道とされています。
「5分だけ歩く」「今日は近所を一周だけ」など、「これなら確実にできる」と思えることから始めるのが◎。むしろ物足りないくらいがちょうどいいスタートラインです。
厚労省も「プラス10分動く」ことから始めるのを推奨しています。まずは「いつもより10分多く歩く」を目標にしてみましょう。
(参考:B.J.フォッグ著「習慣超大全—スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法」ダイヤモンド社)

パターン② 天気に左右されやすい
雨が数日続いたのをきっかけに習慣が途切れ、そのままフェードアウト……という経験がある方も多いのではないでしょうか。「明日にしよう」が積み重なると、あっという間にやる気がしぼんでしまいます。
対策代替プランで習慣をつなぐ
いつもどおり歩けない日にもやる気をつなぎ止められるよう、事前に代替プランを考えておくのがおすすめです。
「雨の日はショッピングモールを歩く」「体調が悪い日はスクワットに切り替える」など、あらかじめ選択肢を用意しておくことで習慣が途切れにくくなります。
例えばこんな代替プラン
- 雨の日:近くのショッピングモール・屋内施設の中を歩く
- 真夏/真冬で外出が難しい日:室内運動に切り替える(チェアエクササイズ・筋トレ・階段の上り下りなど)
- 体調が優れない日:無理して歩かず、ストレッチなど軽めの運動に切り替える

パターン③ 義務感になってしまう
「歩かなきゃいけない」というプレッシャーが積み重なると、だんだん億劫になってきます。楽しみではなく「こなすもの」になってしまった瞬間、続けるのがしんどくなってしまいます。
対策ウォーキングと「楽しみ」をセットにする
B.J.フォッグは、習慣を定着させるためには行動の直後に「良い感情」を結びつけることが重要だとも提唱しています。
たとえば「歩きながらお気に入りのラジオや音楽を聴く」「帰ってきたらお気に入りのお茶でひと息つく」など、小さな楽しみをセットにするだけで、歩くことがご褒美を得るための行動に変わっていきます。
お気に入りのウェアやシューズを用意するのも効果的。「あれを着て歩きたい」という小さな楽しみが、重い腰を上げるきっかけになることもあります。
義務感ではなく「楽しみのためのウォーキング」に変えていくことが、長続きの秘訣です。

パターン④ 効果が見えにくい
「健康の維持」や「病気の予防」といった目的の場合、効果が目に見えないため、モチベーションも下がりがち。実感が得られないまま続けるのは、ゴールの見えないマラソンを走るようなものです。
対策記録を「見える化」して達成感を得る
スマートフォンの歩数計アプリや万歩計を使って、毎日の歩数を記録してみましょう。「昨日より100歩多く歩けた」という小さな積み重ねが、じわじわと達成感につながっていきます。
アプリが苦手な方は、カレンダーに歩いた日のシールを貼っていくのもおすすめ。ウォーキングのついでに100円ショップに寄ってシール選びをするのもいいですね。お気に入りのシールが見つかると、貼ること自体も小さな楽しみになりますよ。

パターン⑤ 単調で飽きてしまう
単調になりがちなウォーキングは、習慣になるより先に飽きてしまうこともありえます。ときにはモチベーションにつなげる工夫も必要です。
対策仲間・目的地をつくる
時々ご近所の方を誘ったり、自治体のウォーキングサークルに参加したりすると、いい気分転換になるかもしれません。誰かと一緒に歩くことは一種の「社会参加」なので、フレイル予防にもなって一石二鳥です。
「今日はあの公園まで行こう」「道すがら花の写真を撮ろう」など、小さな目的を決めるだけでも気持ちが変わってきます。
「歩くこと」よりも「続けること」を意識して、うまく息抜きをはさむのも習慣化のコツですよ。

【実践編】ウォーキングの基本FAQ
- どのくらい歩けばいい?
厚生労働省のガイド(*5)では、65歳以上の場合、1日40分以上のウォーキング(約6,000歩以上)に加え、筋力・バランス・柔軟性を組み合わせた運動を週3日以上行うことが推奨されています。
一方、早稲田大学などの研究(*3)では、高齢者の場合、1日5,000〜7,000歩で死亡リスク低下の効果が頭打ちになることも示されています。
つまり、必ずしも1万歩を目指さなくても大丈夫ということ。今より少し歩数を増やすだけで、十分な効果が期待できます。
とはいえ、5,000~7,000歩もなかなか大変な数字。最初からそこを目指すと無理がたたってしまいかねませんから、まずは「いつもより10分多く歩く」ことを意識してみましょう。
- 歩き方のポイントは?
フォームを少し意識するだけで、効果がぐっと変わります。次の4つのポイントを頭の片隅に置いて歩いてみましょう。
姿勢
背筋を軽く伸ばし、目線はやや前方へ。猫背にならないように気をつけて。歩幅
いつもより少し広めを意識する。歩幅が広いほど筋肉をよく使えます。腕の振り方
肘を軽く曲げて、自然なリズムで前後に振りましょう。ペース
「少し息が上がるけど、会話はできる」程度が理想です。早めのペースがより効果的ですが、ゆっくり歩いても脳の血流アップなどの効果はある(*1)そうです。自分のペースで歩くことから始めてみましょう。

- どんなシューズを選べばいい?
実は続けやすさに直結するのが、靴選びです。どんなに気合いを入れて歩き始めても、足や膝が痛くなってしまっては長続きしません。
次のポイントを参考に、自分に合った一足を選んでみましょう。
クッション性
かかと部分がしっかりしていて、衝撃を吸収してくれるもの。フィット感
つま先に0.5〜1cm程度の余裕があり、横幅も締め付けがないもの。重さ
軽いほど足が疲れにくいです。できれば試し履きして確認を。滑り止め
滑りにくいソールのものを選ぶと、雨上がりなどでも安心です。
「また始める」を何度も繰り返せば習慣に近づける
一度途切れても、またいつでも再開できる手軽さがウォーキングのいいところ。「続けられなかった」と落ち込む前に、5分でも10分でも歩けばそれが再スタートの始まりになります。
研究では、新しく始めた行動が習慣になるまでに、平均して約2ヶ月かかると言われています。ですから、「まず2か月続けてみる」というのを最初の目標にしてみるといいかもしれません。
- 歩数計アプリをすぐ使える状態に設定してみる
- 明日「歩く時間と場所」を決めてみる
- スポーツショップなどでウェアやシューズを眺めてみる
歩くことは、心身の健康を支えるシンプルな方法のひとつ。続けていくために、ぜひ「自分らしい歩き方」を見つけてみてください。

参考情報
この記事は以下の公的機関・信頼できる情報源を参照して作成しています。
- *1 東京都健康長寿医療センター研究所
https://www.tmghig.jp/research/topics/201412-3404/ - *2 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/haya-aruki.html - *3 早稲田大学「高齢者の寿命延長に必要な歩数は?」
https://www.waseda.jp/top/news/87443 - *4 国土交通省「第1章『歩く』効果・効用とそれを習慣化する方法の整理」
https://www.mlit.go.jp/common/000022977.pdf - *5 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf
※記事作成日:2026/2/28
