この記事のポイント
  • 理解度や記憶の定着は、紙の本の方が高いと言われている
  • 電子書籍は本文検索できるので、調べものなどに強い
  • 「ブルーライトは目に悪い」というのは、実はそこまで気にしなくてよい

「最近は電子書籍も一般的になってきたけど、実際のところ紙と電子どっちがいいの?」と迷ったことはありませんか。

今回は、紙の本と電子書籍それぞれのメリット・デメリットをまとめてみます。

紙の本のメリット

内容が頭に残りやすい

ノルウェー・スタヴァンゲル大学のMangenらの研究1)では、同じテキストを紙とPDFで読み比べた結果、紙で読んだグループの方が理解度テストの成績が良い結果となりました。

また、過去54件の研究をまとめたスペイン・バレンシア大学Delgadoらのメタ分析2)でも、説明文や情報文では紙の方が理解度が高い傾向が確認されています(物語文では差が見られなかった)。

「電子書籍に慣れた若い世代なら差はないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかしSinger & Alexanderらの文献調査3)では、いわゆるデジタルネイティブ世代でも紙と電子の理解度の差は同様に見られるとのこと。

なぜ紙の方が記憶に残りやすいのでしょうか。研究を行ったMangen氏らは、読み進めるにつれて左右のページの厚みが変わる感覚が、物語の進行や位置感覚を把握する助けになっているからではないかと考察4)しています。

たしかに、紙の本では「今どこを読んでいるのか」というのが視覚的、触覚的、直感的に掴みやすいですよね。理解度というのは、案外いろんな感覚の影響を受けているのかもしれません。

売れる・貸せる・手元に残る

読み終わった本を古本屋に売ったり、友人に貸したりできるのも紙の本ならでは。また、購入した本は半永久的に手元に残ります。装丁や表紙デザインがおしゃれな本を、インテリアとして飾るのも◎。

電子書籍のメリット

保管場所に困らない

本が増えると本棚が必要になり、置き場所に困るのが紙の本の悩み。一方、電子書籍であれば何冊購入しても端末一台に収まります。「本は欲しいけど置き場所がない」「読んだ本を図鑑のように整理したい」という方には特に魅力でしょう。

すぐ買えてすぐ読める

読みたいと思ったタイミングで購入・ダウンロードしてすぐ読み始められます。書店が閉まっている夜中でも、在庫切れの心配もありません。

暗い場所でも読める

スマートフォンや電子書籍リーダーは画面自体が光っているため、暗い寝室などでも明かりを付けずに読むことができます。

周囲に気を遣うシチュエーションでそっと読むのに便利ですが、画面に顔を近づけることになりがちなので、無意識に目に負担がかかってしまうことも。

気になった箇所をすぐ探せる

「あの登場人物、最初にどこで出てきたっけ」「あの情報、何ページに書いてあったっけ」というとき、キーワードで本文を検索してすぐに見つけられます。紙の本のようにパラパラめくって探す必要がなく、より調べものに強いと言えるかもしれません。

なお、電子書籍リーダーの中にはタッチペン(スタイラスペン)で書き込みをしたり線を引いたりできるモデルもあります。紙の本に近い感覚を求める方は、タッチペン対応モデルを利用するのもひとつの手です。

サービスが終了したら、読めなくなるリスクも

電子書籍で購入した本は、厳密には「所有権」ではなく「使用権(閲覧できるライセンス)」を購入する仕組みです。サービスが終了した場合、読めなくなるリスクがゼロではありません。

ポイント返金など何らかの対応が行われることが多いですが、紙の本のように「買ったら確実に手元に残る」とは異なる点は覚えておくとよいでしょう。

ブルーライトは大丈夫?

スマホやタブレットの画面から出る「ブルーライト」が目に悪いと心配している方も多いと思います。しかし日本眼科学会など6団体が発表した見解5)によれば、デジタル端末のブルーライトは曇りの日の窓越しの自然光と同程度なのだとか。日中の使用で目に重大な損傷を与えるという医学的根拠は、現時点で確認されていません。

ただし、就寝前のスマホ・タブレット使用は要注意。ブルーライトは睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を抑制する可能性を指摘されており6)、夜遅くまで画面を見続けるのはあまりおすすめできません。

なお電子書籍リーダーは、基本的にブルーライトの影響を最小限に抑えたE-inkディスプレイを採用していることが多いです。就寝前に読書をする習慣のある方は、電子書籍リーダーか紙の本を選ぶのがよいでしょう。

記憶に残すなら紙の本、より資料向きなのは電子書籍

内容をしっかり理解したい・記憶に残したい場合は紙の本、保管場所を取りたくない・調べものに使いたい場合は電子書籍が向いていると言えそうです。

思い入れのある本や装丁が気に入った本は紙で購入して本棚に保管し、資料として残したい本やサクッと読みたい本などは電子書籍で購入するという使い分けもいいかもしれません。

読書やパズルなどの認知活動をすればするほど、認知機能の低下が緩やかになるという研究報告7)もあります。紙でも電子でも、自分が続けやすいスタイルを見つけて、読書習慣を身につけられるといいですよね。

本記事の内容は健康情報の提供を目的としており、医療行為・診断を目的としたものではありません。体の不調がある場合は医師にご相談ください。

参考情報

  1. Mangen A. et al., “Reading linear texts on paper versus computer screen: Effects on reading comprehension”, International Journal of Educational Research, 2013
  2. Delgado P. et al., “Don’t throw away the printed book: The reading medium moderates the effect of metacognitive strategies on reading comprehension”, Educational Research Review, 2018
  3. Singer L.M. & Alexander P.A., “Reading on Paper and Digitally: What the Past Decades of Empirical Research Reveal”, Review of Educational Research, 2017
  4. Mangen A., Olivier G. & Velay J.L., “Comparing Comprehension of a Long Text Read in Print Book and on Kindle: Where in the Text and When in the Story?”, Frontiers in Psychology, 2019
  5. 日本眼科医会ほか6団体「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」2021年
    https://www.gankaikai.or.jp/info/20210414_bluelight.pdf
  6. 厚生労働省e-ヘルスネット「メラトニン」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html
  7. Wilson R.S. et al., “Life-span cognitive activity, neuropathologic burden, and cognitive aging”, Neurology, 2013

記事作成日:2026/4/8